【個人事業主の保険ガイド】会社員との社会保障の違いと本当に必要な保険とは?

【個人事業主の保険ガイド】会社員との社会保障の違いと本当に必要な保険とは?

個人事業主と会社員を比較すると、「万が一のときの保障」が大きく違います。
「個人事業主はどんな保険に入ればいいの?」「会社員と比べて何が違うの?」と疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、個人事業主と会社員の社会保障の違いを分かりやすく解説し、個人事業主に必要な保険の種類や選び方について詳しくご紹介します。

目次

個人事業主と会社員の社会保障の違い

個人事業主と会社員(被用者)では、加入する公的社会保険や受け取れる保障内容(病気・ケガ・万が一の死亡時など)が大きく異なります。主な違いをわかりやすく表にまとめました。
まずは、違いを正しく理解し、リスクに対する方法を検討していきましょう。

会社員と個人事業主の公的保障比較表

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個人事業主・フリーランス会社員(被用者)ポイント
公的医療保険国民健康保険(国保)
・保険料は全額自己負担
・原則傷病手当金なし
・原則出産手当金なし
健康保険(協会けんぽ・組合健保等)
・保険料は労使折半
・傷病手当金あり
・出産手当金あり
個人事業主は病気やケガで休業した際の収入の補償が公的制度からは出ない。
公的年金国民年金
・保険料は全額自己負担(定額)
・将来受け取れる基礎年金のみ
国民年金+厚生年金
・保険料は労使折半
・基礎年金に厚生年金がプラス
個人事業主は会社員と比べて将来の老齢年金額が少なくなる傾向がある。
遺族年金遺族基礎年金
・支給条件は原則「18歳未満の子がいる配偶者または子」のみ
遺族基礎年金+遺族厚生年金
・子のいない配偶者にも支給(条件あり)
・遺族厚生年金により補償が手厚い
個人事業主は会社員と比べて将来の老齢年金額が少なくなる傾向がある。
雇用保険対象外加入対象
(失業手当や育児休業給付あり)
個人事業主は売上が減少したり事業をやめたりしても失業手当はない。
労災保険原則対象外
(一部業種で特別加入制度あり)
全額会社負担で加入
(業務上のケガ・病気を補償)
業務中のケガや事故でも公的労災補償が基本的に受けられない。

特に注意したいのが、「働けなくなったときの傷病手当金がない点」と「万が一の際の遺族年金が手薄な点」「老齢年金が手薄な点」です。会社員であれば、国民年金に厚生年金がプラスされますが、個人事業主は国民年金のみです。また、遺族年金の場合、会社員であれば子がいない配偶者でも「遺族厚生年金」が受け取れる場合がありますが、個人事業主の「遺族基礎年金」は18歳未満の子がいないと支給されません。そのため、公的保障だけではなく、民間の保険で備えることも検討していく必要があるでしょう。

個人事業主が備えるべきリスク

個人事業主が備えるべきリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。想定されるリスクを解説します。

働けないリスク

病気やケガで長期療養が必要になった際、個人事業主には会社員のような「傷病手当金」が出ません。働けない期間も生活費や事業の固定費(事務所賃料等)は発生し続けるため、収入減少リスクに備えておくと安心でしょう。

病気・ケガリスク

国民健康保険は医療費の自己負担は最大3割に抑えられ、「高額療養費制度」があるため月々の医療費上限は決められています。しかし、入院時の差額ベッド代や食事代、先進医療費などは全額自己負担です。急な医療費出費で生活費や事業資金を圧迫しないよう備えておくと安心です。

長生きのリスク

自営業やフリーランスの方は、老齢基礎年金しか受給できないので、老後資金が足りないという可能性もでてきます。老後の年金受給額を増やすためにも、民間の個人年金保険などで備えておくと安心でしょう。

死亡のリスク

自営業やフリーランスの方は、遺族基礎年金しか受給できず、受給できる条件は18歳未満の子をもつ配偶者となります。万が一のことがあった場合に、ご家族の生活を守るための備えをしておくと安心でしょう。

個人事業主におすすめの保険

公的保障が手薄になりがちな個人事業主ですが、実際にはどのような保険に加入するのが良いのでしょうか。
一般的に、個人事業主・フリーランスが加入すべき主な保険は下記を検討すると良いでしょう。

【重要度:高】
就業不能保険

やはり、一番最初に考えておきたいのは、働けなくなった時の生活費をどうカバーしていくかになるかと思います。
会社員であれば、傷病手当があるので病気やケガで働けない場合には、最大1年6か月間、給与の約3分の2を受取れますが、個人事業主の場合は、働けない事が収入に直結してしまうことが多いはずです。

就業不能保険や所得補償保険は、病気やケガで一定期間以上働けなくなった場合に、保険金が毎月支払われる保険で、就業不能保険や所得補償保険は、病気やケガによる入院だけでなく、医師の指示による在宅療養も保障されます。

傷病手当金が受け取れない自営業やフリーランスにとっては、必要性の高い保険といえるでしょう。

【重要度:中】
個人年金保険

個人事業主が将来受け取る公的年金は原則として「老齢基礎年金」のみとなるため、厚生年金がある会社員と比較して老後の年金支給額が大きく下がる傾向にあります。
老後必要な生活費は、ゆとりある老後で平均39.1万円、最低限平均23.9万円※必要と言われています。老後の生活費不足を補う手段として、若いうちから計画的に積立ができる「個人年金保険」を活用し、私的年金を準備しておくことが推奨されます。条件を満たせば「個人年金保険料控除」が適用され、一定の節税効果が得られる点もメリットです。
※生命保険文化センター:老後の生活費はいくらくらい必要と考える?

【重要度:中】
死亡保険(定期保険・収入保障保険など)

大黒柱である個人事業主に万が一(死亡・高度障害など)があった場合、遺族に給付される公的年金は「遺族基礎年金」のみです。18歳未満の子がいない配偶者には給付されないほか、給付額自体も会社員の遺族厚生年金と比べて手薄になります。
残された家族の生活費や教育費を確保するために、民間の死亡保険での備えが非常に重要です。特に、毎月給与のように保険金を受け取れる「収入保障保険」は個人事業主と相性が良いとされています。

【重要度:低】
医療保険

国民健康保険で医療費の自己負担は最大3割に抑えられる。高額療養費制度で月々の医療費上限は決まっている。とはいえ、大きな病気やケガで入院すると治療費以外にも費用の負担は増えていきますし、働けないうえに治療費もかさむと家計には大打撃にもなります。
医療保険は入院や手術をした時に給付金を受取れるものが一般的で、公的医療保険制度ではカバーできない部分に備えられます。

まとめ

個人事業主は、会社員に比べて自由度が高い反面、「病気・ケガ・死亡・老後における公的保障が手薄である」というリスクを背負っています。

以下のステップで検討すると納得のいく保険選びが出来るでしょう。

  1. 公的保障の薄い部分(傷病手当金の欠如や遺族年金の少なさ)を正しく認識する
  2. 「就業不能保険」や「医療保険」で病気・ケガによる収入減・支出増に備える
  3. 将来の老後資金不足に備えて「個人年金保険」などの私的年金を計画的に準備する
  4. 家族がいる場合は「死亡保険」で万が一の際の遺族の生活費を確保する

ご自身の業種や家族構成、貯蓄状況に合わせた最適な保険を選び、安心して事業に専念できる環境を整えましょう。

監修者プロフィール

川﨑 謙也
2024年度MDRT/FP技能士/トータル・ライフ・コンサルタント/上級相続診断士

外資系生命保険会社を経て、トータル・ライフ・コンサルタント(生命保険協会認定FP)や上級相続診断士などの資格を有し、幅広い知識を持ち合わせるFPとして活躍中。 様々な年齢層を対象に、年間約200世帯ほど面談を行なっている。お客さま一人ひとりのペースに合わせて理解を進めていただくことを大切にしている。

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