円安が進むと保険はどうなる?知っておきたいリスクと資産を守る方法

円安が進むと保険はどうなる?知っておきたいリスクと資産を守る方法

現在、外国為替市場では歴史的な円安が進行しており、東京市場では一時「1ドル=163円台前半」で取引される局面を迎えました。これは1986年12月以来、実に入念な節目となる約39年ぶりの歴史的な円安水準です。

日々の食品やガソリン代の値上げなど、私たちの日常生活における「物価高」として円安の影響を痛感している方も多いのではないでしょうか。しかし、実は私たちが将来のために加入している「生命保険」の価値や毎月の負担にも、この歴史的な円安が非常に大きな影を落としています。

「今入っている保険のままで大丈夫?」「外貨建て保険はどうすべき?」そんな切実な疑問や不安を抱える方に向けて、今回は円安と生命保険の関係と、私たちの資産と保障を守るために今すぐ取れる賢い対処法を分かりやすく解説します。

目次

円安とは

円安とは、外国の通貨(主に米ドルなど)に対して「日本円の価値が下がること」を言います。例えば、1ドル=100円だった為替レートが、1ドル=150円になった状態を指します。以前は100円で買えていた1ドルの商品を買うために、150円を支払わなければならなくなるため、海外から輸入するモノの価格が高騰します。このように、円安は私たちの財布から実質的な購買力を奪っていく現象でもあります。

円安による生命保険への影響とは

円安は、私たちが支払う保険料や、将来受け取る保険金・解約返戻金の「実質的な価値」に影響を与えます。日本の多くの生命保険は「円建て」ですが、円の価値が下がった影響で物価が上昇すると、将来受け取るの保険金で買えるモノの量が減ってしまいます。つまり、円建ての保険だけでは、将来のインフレ(物価上昇)に対応できなくなるリスク(インフレリスク)が生じるのです。一方で、米ドルなどの外貨で運用する「外貨建て保険」においては、円安は非常に大きな変化をもたらします。

影響を受けやすい保険の種類

円安の影響を最も強く受けるのが「外貨建て保険」です。外貨建て保険には、終身保険、養老保険、個人年金保険などがあります。
外貨建て保険に加入する際、または継続する際は円安によるメリット・デメリットの把握と、為替リスクを正しく理解しておく必要があります。

外貨建て保険の円安によるメリット

受け取る保険金・解約返戻金が増える

死亡保険金や満期金、解約返戻金などを日本円で受け取る際、契約時よりも円安が進んでいれば、為替差益が発生し受取額(円換算)が増加します。

リスク分散ができる

円建ての資産しか持っていなければ、円の価値が下がると資産が目減りしてしまいます。ドル建て保険に加入することで、リスクを分散することができますので、円以外の資産も保有することで資産の価値の減少に備えることが可能です。

外貨建て保険の円安によるデメリット

保険料が高くなる

外貨建て保険は外貨建てで保険料を払い込む必要があるため、為替レートが円安になるほど保険料が高い傾向があります。
しかし、平準払の外貨建て商品の場合はドルコスト平均法を活用することによって、円安の状況でも円払込保険料を一定に保つ方法もあります。

元本割れリスクがある

円安のタイミングで外貨建て保険に加入すると、外貨を割高なタイミングで買い始めることになるため、将来円高に戻ったときに元本割れするリスクが高まります。

ドルコスト平均法とは…

ドルコスト平均法とは、一定額のドルを定期的に買い付けていく方法で、平均購入単価を抑える効果が期待できます。
例えば、円高の時は多くのドルを積み立て、円安の時は少しのドルを積み立てます。
これにより、為替相場の変動によって生じるリスクを平準化することができ、円換算したときに為替差損を被るリスクを低減することができます。

円安禍で我々ができる保険の対処法

急激な為替変動や物価上昇に振り回されず、保険を通じて大切な資産と保障を守るためには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。対処方法を3つご紹介します。

1:円建て保険の不足分を「変額保険」や「外貨建て保険」で補う

円建ての生命保険(終身保険や養老保険など)だけに加入している場合、円安によるインフレ(物価上昇)で、将来受け取る保険金の価値が目減りしてしまうリスクがあります。これを防ぐためには、保障の一部に「変額保険」や「外貨建て保険」を組み入れるのが有効です。これらは物価上昇や円安に強い特性を持っているため、円建て保険の弱点を補える可能性があります。

2:外貨建て保険は「平準払い(月払い)」を選ぶ

これから外貨建て保険への加入を検討する場合、まとまった保険料を一度に支払う「一時払い」は避けた方が良いでしょう。現在の円安局面で一括投資すると、最も割高なタイミングで外貨を買ってしまうリスク(高値掴み)があるためです。毎月一定の円貨で支払い続ける「平準払い」を選びドルコスト平均法を活用すれば、円安の時期は少なく、円高の時期は多く外貨を自動的に買い付けることになり、為替リスクを効果的に抑えられます。

3:外貨建て保険の負担が重い場合は「払済保険」に変更する

既に外貨建て保険に加入しており、円安の進行によって毎月の保険料負担が家計を圧迫している場合の対処法です。
解約してしまうと元本割れする可能性が高いため、保険料の払い込みを途中でストップする「払済保険」への変更を検討しましょう。これまでに貯まった解約返戻金を元手に、期間はそのままの形で、保障額(保険金)を下げた保険へと切り替えることができます。これにより、円安による家計へのダメージをゼロにしつつ、外貨での運用と一定の保障を継続することが可能です。

まとめ

円安は、私たちの生命保険の価値や家計の負担を大きく左右する重要な要素です。
円建て保険は、円安による直接的な為替リスクはありませんが、円安が続けば将来のインフレに対応できないリスクがあります。一方、外貨建て保険は、円安によるメリットと同時に保険料高騰のデメリットが存在します。
大切なのは、円安を恐れることではなく、為替の仕組みを正しく理解し、自分のライフプランに合ったバランスの良い「資産の分散」を行うことです。家計に無理のない範囲で、変化に強い保険ポートフォリオを構築していきましょう。

円安が続く中で、加入中の保険が心配になったり、保険を検討している方は、お金の専門家であるFPに保険のことを相談してみると安心できる選択ができるかもしれません。

監修者プロフィール

川﨑 謙也
2024年度MDRT/FP技能士/トータル・ライフ・コンサルタント/上級相続診断士

外資系生命保険会社を経て、トータルライフコンサルンタント(生命保険協会認定FP)や上級相続診断士などの資格を有し、幅広い知識を持ち合わせるFPとして活躍中。 様々な年齢層を対象に、年間約200世帯ほど面談を行なっている。お客さま一人ひとりのペースに合わせて理解を進めていただくことを大切にしている。

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