外貨建保険って何?どんな人にお勧め?メリットとデメリットも解説

NISAやiDeCoなどの投資が注目を集めている中、米ドルや豪ドルで積み立てができ、保険と投資の両方の特徴を持つ外貨建保険に興味を持つ方も少なくないかと思います。

そんな方のために、このページでは外貨建保険の特徴やメリット知っておくべきリスクどんな人にお勧めなのかを解説していますので、外貨建保険に興味はあるけど、不安を抱えていてなかなか踏み込めないという方は是非見ていただけたらと思います。

外貨建保険の特徴は?どんな保険なの?


外貨建保険とは、その名の通り米ドルなどの外貨を使い、金利の良い外国で運用される保険のことです。

海外の方が金利が高い傾向にあるため、日本の一般的な円建ての保険よりも効率よく運用できる可能性があると言われています。

運用されている通貨は主に米ドル豪ドルユーロの3種類です。

保険商品によって通貨のラインナップが異なり、米ドルだけしか選択できないというものもあれば、3種類の中から自由に組み合わせることが出来る商品もあります。

ここまで聞いて「え、じゃあ米ドルなどの外貨は自分で用意するの?」という不安を持つ方もいるかも知れませんが、外貨建保険は基本的に円で保険料を支払います

その円を保険会社が外貨に換えて運用してくれるということになります。

また、死亡保険金や解約返戻金も外貨で支払われますが、円に両替して渡してくれますので、通常の保険と同じ感覚で加入することができます。

ただし、円から外貨、外貨から円に両替するということは為替リスクが発生することになり、場合によってはこれが原因で元本割れする可能性もゼロではなくなってしまいます

例えば保険料を払う時は1ドルあたり100円だったけど、解約返戻金を貰う段階で急に円高になって1ドル80円になってしまった場合、単純計算で20%もマイナスになってしまいます。

逆に解約する段階で1ドル120円といった円安になった場合は、20%も多くもらえることになります。

外貨建保険に加入する場合、このような為替リスクの影響が大きいということを理解したうえで検討する必要があります。

外貨建保険は3種類ある

外貨建保険は主に終身保険個人年金保険養老保険の3種類が販売されています。

外貨建終身保険 死亡・高度障害の保障が一生涯あり、払込満了後は払い込んだ保険料よりも多くの解約返戻金(外貨ベース)が貰えるという保険。
外貨建個人年金保険 払った保険料が外貨で積み立てされ、払込満了後は外貨で年金を受け取っていくという保険。
外貨建養老保険 払った保険料が外貨で運用され、満期時に外貨で保険金が受け取れるという保険。
保険期間中は死亡・高度障害の保障が付いている。


3つとも貯蓄性が高い保険です。

どれも円建ての保険よりもリターンが期待できる反面、為替リスクがあるという点は共通しています。

外貨建保険のメリット部分


外貨建保険にはいくつかのメリットがありますので、チェックしておきましょう。

円よりも金利の高い外貨で運用できる

日本は低金利の状態が続いており、外国と比べてみても特に低い状態になっています。

そのため、円建ての保険は為替リスクはないものの、リターンはあまり期待できないのが現状です。

ですが、アメリカ(米ドル)やオーストラリア(豪ドル)などは日本と比べて金利が高く、保険自体も高いリターンが期待できる状況となっています。

外貨は為替リスクがあるため、引き出す時に円高になると資産が目減りしてしまうという点に注意が必要ではありますが、生命保険としては円建てのものよりも高いリターンで運用できる可能性があります。

保険料が安い

外貨建保険は円建ての生命保険と比べ、保険料が比較的安めに設定されているものが多いです。

何故かというと、外貨建保険は高い金利で運用されるため、目標金額への到達は低金利のものよりも少ない金額で達成できることになるからです。

単純な複利積み立て計算
10,000円、利回り5%で20年間積立 = 411万円
12,520円、利回り3%で20年間積立 = 411万円
右矢印利回りが高い方が保険料は安く済む!


現在は外貨の方が日本円よりも高金利となっているため、米ドルや豪ドル建ての保険の方が保険料を安く設定できるという訳です。

万が一の保障と資産運用の両方が得られる

少子高齢化で将来の年金に不安が出てきた昨今、老後のことを考えてNISAやiDeCoなどの投資に目を向ける方も増えてきていますが、同時に小さいお子さんがいる家庭などでは大黒柱の万が一を考えて死亡保険にも入っておくと将来の安心感が違ってきます。

その両方のニーズを満たしてくれるのが外貨建保険です。

外貨建保険は国内の保険よりもリターンが高い傾向にあり、最低保証利率が設定されているので、資産が減るリスクが抑えられています

そのうえ、死亡保障も付いていますので、保険と資産運用の両方を得たいという方にはかなり向いている保険となります。

NISAやiDeCoは確かに投資の面では優遇されている制度ではありますが、万が一の保障がありません。

かといって円建ての死亡保険では資産運用の面で物足りない・・。

このように考えている方は是非外貨建保険を検討してみてください。

外貨建保険の注意点


外貨建保険には大きなメリットがある一方、知っておくべきリスク・注意点もあります。

これらは加入を検討する前に知っておくのが望ましいです。

円高による元本割れリスクがある

外貨建保険は基本的に最低保証利率が決められています

保険の運用成績は時期によって良い時もあれば悪い時もありますが、悪い時期でも最低保証利率を下回ることがないため、通常の投資と比べても安心して運用していけます。

そのため、元本割れをすることはないように思えますが、外貨で運用される商品のため、為替リスクの影響で元本割れの可能性が出てきてしまうのです。

例えば10,000ドルの保険料を払い、解約返戻金が11,000ドルの場合、米ドルベースでは10%のプラスになっています。

ですが、保険料を払う段階が1ドルあたり100円だった場合は100万円の保険料となりますが、解約返戻金を貰う段階になって急に1ドル80円になってしまった場合は11,000ドル×80円=88万円にしかならないため、12万円のマイナスとなります。

このように、状況次第では元本割れしてしまうという可能性もあり得るのです。

外貨として高い利回りだったとしても、為替の状況次第では得もするし損もする可能性があるということは覚えておきたいところです。

ちなみに、解約返戻金を検討する段階で円高になってしまった場合、少し時間を置いて円安になるのを待つか、または年金受取にすることが可能なら受取金額を平準化することが出来ますので、元本割れする可能性がある時はそのような選択も視野に入れておくと良いかと思います。

保険料や保険金額が変動するため、家計が把握しにくい

外貨建保険はその性質上、保険初心者の方にとっては色々と分かりにくい点があります。

商品の内容はもちろんなのですが、海外の金利状況、円建て保険にはない諸費用など、外貨建てならではの分かりにくいポイントがいくつかあります。

ただ、それらは理解すれば分かるようになるのでまだ良いのですがが、一番分かりにくいのはやはり為替の変動による金銭面の変化です。

外貨建保険は為替の影響により、保険料が変わってきます。

円安の場合は高くなり、円高の場合は安くなります。

そして保険金や解約返戻金の金額もその時の為替次第で決まってしまうため、現時点では将来いくらになるのか、大まかにしか予想することができません

しかもその予想の範囲を外れて大きく変わってしまう可能性もあります。

円建ての保険であれば保険料も保険金も解約返戻金も決まっているため、家計や収支を把握しやすいですが、外貨建保険だと家計を細かく把握する場合に向いておらず、ある程度の許容範囲を持って加入する必要があると言えます。

為替手数料がかかる

保険料を円で払って外貨に変える時、そして保険金や解約返戻金を受け取る際に外貨から円に変える時は為替手数料がかかります

外貨建保険にしかない手数料で、気にするほどの費用ではありませんが、ここも円建ての保険にはない注意点となります。

外貨建保険はこんな人にお勧め


これまでの内容から、外貨建保険に向いている人を挙げるとすると、

投資に興味があり、リスクを負える
資産運用と保険をまとめてやりたい人
将来的に海外に移住する可能性がある人
商品の中身をしっかり理解してから加入する人


このような方が向いているかと思います。

まず、外貨建保険は円建て保険よりリターンが期待できる反面、為替リスクがあるため、保険ではあるけど投資の性質が少し強めの商品となります。

そのため、ある程度投資に興味があり、積極的に資産を増やしたいけど、リスクがあることも許容できる人に向いています。

また、投資だけしたいならNISAやiDeCoが、万が一の保障だけが欲しいなら死亡保険が向いていますが、手間を省くために資産運用と保障の両方を一つの商品で完結したい場合、外貨建保険は高いリターンに加えて死亡保障もしっかりしていることから、候補の一つに挙がるかと思います。

そして外貨建保険の保険金や解約返戻金は外貨のまま受け取ることができるため、例えば将来アメリカに移住する予定という方は米ドルのまま受け取れば為替手数料分を得させることが出来ますし、ドルで受け取るので円高などの為替リスクも考えなくて済みます

海外移住を視野に入れている方に向いている保険なのは間違いないと言えます。

最後に、外貨建保険は中身やリスクについてあまり理解せずに加入し、後に相談や苦情に発展するケースがありますので、リターンの高さだけを見るのではなく、為替リスクや各種手数料、利率、その商品の仕組みについてしっかりと理解したうえで加入を検討するようお願いします。